アルコール依存症
アルコール依存症
症例1
40代男性
8年前に診断され、うつ病も併発。
2年前から仕事をしておらず、飲酒による泥酔を毎日繰り返していた。
初回検査時、身体のエネルギー不足が顕著であり、まずは治療の土台となる身体を整えるところから始めた。
ほぼ末期的な状況からのスタートであった。
(飲酒過多だと食事をあまり取らないため、栄養不足になる事が多い。)
当センターの治療プロトコールに沿って、週2.3回の計画で進めた。
当初は禁酒を強要せず、身体の回復を優先した。
治療開始2週間後
飲酒に対する罪悪感が出てきて、本気で酒をやめたいと思う気持ちが出てきた。
身体もかなり回復し、栄養状態が改善、顔色も良くなったが、まだ毎日の飲酒はやめられない。
1か月後
イライラが強くなり、飲みたい衝動が抑えられず、一時増悪したように見えたが、一種の離脱症状の一部だと思われた。
その後しばらくして、飲まずにいられそうだとのことで、禁酒治療を勧めた。
2ヶ月後
最長1週間は飲まずにいられたが、まだ飲んだり飲まなかったり。
少し飲まずにいても、1滴入ると抑えられずどんどん飲んでしまう。
ここで家族を呼んで協力を依頼。本人の前での飲酒禁止、家にお酒を置かない事を徹底させた。
3ヶ月後
かなり飲まずにいられるようになり、イライラ感も軽減した。
禁酒3週間OKだったので、本人の強い希望で新しい仕事についたが仕事のストレスで再発。
再度立て直しをはかり、1週間集中ケアでかなり良い状態に。
身体がよい状態を覚えており、強いストレスが無ければOKと考えられた。
まとめ
アルコール依存症は既存の医療でも非常にコントロールが難しい症状の一つである。
今良くても、3年良くても、1滴の酒により再発してしまうリスクがある。
しかし、本症例のように8年という長い罹患期間であっても、数か月のケアで社会復帰する所まで回復する事もある。
『完治』という状態がない症状だけに、今後も継続的なケアが必要であるが、患者に寄り添い、禁酒指導も含めトータル的なケアを行う事で十分な成果が得られる。
諦めずに相談して頂きたい。